第103回恵迪寮祭 世界は寮(ここ)を天才(バカ)と呼ぶんだぜ!

記念祭歌

芳香漂う

昭和四十二年第六十回記念祭歌
稲田雅久君 作歌
名田正信君 作曲

一.
芳香かおり漂うやわらかの
のこんの春の夕間暮
おぼろにかかる夕月に
浮かぶ辛夷の花吹雪
ああ鳴り止みて聞えこぬ
色壮麗の鐘の音は
六十路むそじの夏に鳴らざるや
いま黄昏たそがれの自治の庭
二.
細き羽音はおとも秘そやかの
蜉蝣かげろうやみをかすめゆき
はしる流れの音もなく
まつよい草の星あかり
ああ死に絶えて泳ぎこぬ
銀鱗ぎんりんおどる紅鮭べにうお
六十路の秋にのぼらずや
いま宵闇よいやみの自治の川
三.
風に棚引たなびく軽やかの
雲蒼空くもそうくうの朝ぼらけ
よぎる秋津あきつ影紅かげあか
のこんの月は薄れゆく
ああ舞い去りて渡りこぬ
なが旅寝たびねかりがね
六十路の冬にかえらずや
いま有明の自治の原
四.
軒につらなるしろがね
垂氷たるひに映る灯に
星影凍みる松が枝を
散るひとひらの雪の花
ああ枯れ果ててきざしこぬ
野もに埋もる花の実は
六十路の春に咲かざるや
いま夜も更けぬ自治の舎
五.
露にしたたりぬ生々せいせい
楡林ゆりんにねむる夢醒めて
牧場におどる朝もやの
さなかに歌う夜明あけの鳥
見よ紅の山の端に
湧き立つ空の群雲むらくも
つらぬきわたる光かな
いま六十歳むそとせの夜は明けぬ
六.
寮友ともかんばせ篝火かがりび
炎もわらう記念祭
歌をうたわば玉響たまゆら
さも舞い飛ぶ火の粉なり
いざ高らかに祭歌まつりうた
はやる太鼓の轟きは
夜空を深く駆け抜けて
北斗に和する生命いのちなり
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