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【 研究Topics 】

  掲載日: 2015/08/19

水の凝縮核生成の大規模分子動力学シミュレーション
〜室内実験レベルの低生成率での凝縮核生成の再現に成功〜
(低温科学研究所 田中 今日子,田中 秀和)


  • 飽和した蒸気から液滴が生まれる際の凝縮核生成は,気象学(雲粒形成)や工学(ナノ粒子形成)などの理工学の幅広い分野で重要な研究対象となっています。しかし,最初につくられる凝縮核はナノサイズと極めて微小なため,その生成率を精度よく予言することは困難であり,有効な一般的理論は未だ存在していません。北海道大学とスイス・チューリッヒ大学との国際共同研究チームは,スーパーコンピュータを駆使し,1200 万原子までの大規模分子動力学シミュレーションを行うことで,水蒸気からの均質凝縮核生成過程を明らかにしました。その結果,従来計算の10万分の1という低い核生成率で進行する現象を再現し,室内実験で得られている核生成率と同レベルにまで到達することに成功しました。我々が様々な温度や圧力に対し得た水蒸気からの凝縮核生成率やこれまでの室内実験などで得られていたデータは30桁という広範囲にわたりますが,我々はこれらのデータをすべてよく再現する理論モデルも新たに提唱しました。

  • (詳細は,http://www.hokudai.ac.jp/news/150819_lowtem_pr.pdf

  掲載日: 2015/06/23

宇宙で最初の光学活性アミノ酸の生成経路解明
(低温科学研究所 大場 康弘,渡部 直樹)


  • 分子の中には,その組成は同じでも立体的に重ねることができない鏡像関係にある異性体(=光学異性体)が存在するものがあります。北海道大学低温科学研究所では,宇宙で最初の光学異性体を持つアミノ酸が,暗黒星雲に存在する極低温(-261℃)の微粒子上で生成されうることを実験で確かめました。この発見は,生命を構成するアミノ酸や糖がなぜ片方の光学異性体のみで構成されるのか,という根源的な疑問に答える重要な鍵となります。

  • (詳細は,http://www.hokudai.ac.jp/news/150623_lowtem_pr.pdf

  掲載日: 2015/06/03

「量子効果に見えない」奇妙な量子トンネル効果の発見
(低温科学研究所 羽馬 哲也)


  • 量子トンネル効果は,幅広い分野の化学において重要な役割を果たしています。量子トンネル効果は質量が小さいほど顕著になるため,水素原子とその重い同位体である重水素原子とでは,重水素原子の方が反応速度が格段に遅くなると考えられています(同位体効果が大きい)。しかし我々は,固体有機物と水素・重水素原子との化学反応において極めて同位体効果の小さい量子トンネル効果を発見しました。この結果は「量子トンネル効果には大きな同位体効果が観測される」という化学の常識に一石を投ずるとともに,量子トンネル効果が今まで考えられてこなかった多くの化学反応に寄与していることを示しています。本研究成果は,米国科学アカデミー紀要(PNAS)オンライン速報版で2015 年6 月1 日(月)の週(米国東部時間)に公開される予定です。

  • (詳細は,http://www.hokudai.ac.jp/news/150603_lowtem_pr.pdf

  掲載日: 2015/06/01

地殻内で形成されたダイヤモンドを発見
(低温科学研究所 香内 晃)


  • これまで地球上で発見されているダイヤモンドはすべて高温・高圧の地球深部起源のものでした。一方,実験的には地殻内の低温・低圧の条件でもダイヤモンドができることはわかっていましたが,地殻内で形成された岩石からはダイヤモンドは見つかっていませんでした。ロシア科学アカデミー,北海道大学,カターニア大学の共同研究チームは,地殻内の低温・低圧の条件で,かんらん岩が水や二酸化炭素と反応してできた蛇紋岩に含まれる炭素質物質を種々の方法で分析しました。その結果,大きさが数nm のナノダイヤモンドを発見しました。また,ナノダイヤモンドは,温度300℃以下,圧力1000 気圧以下の,地下5km より浅い地殻内で形成されたことがわかりました。地球上で天然に産するダイヤモンドとしては,はじめてダイヤモンドの安定領域外の低温・低圧でできたものを発見したと言えます。

  • (詳細は,http://www.hokudai.ac.jp/news/150601_lowtem_pr.pdf

  掲載日: 2014/07/03

北大が開発したJEM-GLIMS観測器による雷観測,NASAがISSでの成果トップ3に選出!

  • 北海道大学,大阪大学,スタンフォード大学などを中心とする研究グループが開発した雷・スプライト観測装置(JEM-GLIMS)は,2012年7月に種子島宇宙センターからH-IIBロケットによって打上げられ,国際宇宙ステーション(ISS)日本実験棟(JEM)曝露部に設置されました。2012年から現在に至るまで雷・スプライトの連続観測を成功させています。これまでの観測と研究成果が高く評価され,2014年6月17日-19日にシカゴにて開催された「ISS Research & Development Conference」にて,ISSでの成果トップ3に選ばれ,NASAから表彰されました。
    (JEM-GLIMSの詳細は,こちら
    (受賞の詳細は,こちら (英語)


    (NASAから表彰された,北大・佐藤光輝 講師)



  掲載日: 2013/10/08

惑星の種はすき間だらけ 〜「ダストから微惑星への成長の謎」を解明

  • 国立天文台/総合研究大学院大学、北海道大学を中心とする研究グループは、ミクロンサイズのダストから、キロメートル程度の大きさの小天体である微惑星に至るまでの一連の進化理論を提唱しました。惑星は、はじめミクロン以下であった固体粒子(ダスト)が互いに衝突・付着を繰り返し徐々に大きくなることで形成されたと考えられています。しかし、キロメートルよりも小さいサイズでは、自己重力が非常に弱くそれらの付着成長は困難だとされてきました。本研究グループは、小天体の内部構造進化を考慮して付着を調べることにより「ダストから微惑星への成長の謎」の解明に成功しました。


  掲載日: 2013/09/09

過飽和気体における核生成過程の大規模分子動力学計算:はじめて室内実験との直接比較を実現!

  • 過飽和気体の凝縮核生成は理工学、天文学の幅広い分野で重要なプロセスですが,定量的に信頼できる理論モデルは未だ存在していません。理論惑星科学研究室は,スイスチューリッヒ大との共同研究で,気体からの凝縮過程に関する,超並列計算機を用い80 億分子までの大規模計算を行いました。その結果,室内実験条件と同様の低過飽和状態においてアルゴンガスの核生成を定量的に再現することに成功しました。核生成過程を決めるナノサイズの臨界核の形成エネルギーを分子動力学計算結果より実測された臨界核形成エネルギーは従来の巨視的な見積りより大幅に小さく,それにより室内実験で得られる高い核生成率を説明できることを明らかにしました。また,核への凝縮係数は温度と共に過飽和度にも強く依存することも確認しました。本研究において様々な温度や過飽和度に対し得られたデータは,高精度かつ普遍的な核生成理論モデルの構築に役立つと期待されます。

  • (詳細は,http://www.hokudai.ac.jp/news/130905_pr_lowtem.pdf

  掲載日: 2012/12/27

JEM-GLIMSミッション,初期観測に成功!

  • 北海道大学,大阪大学,近畿大学などが中心となって宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共に開発を行った,国際宇宙ステーションからの雷放電・スプライト観測装置(JEM-GLIMS)が,軌道上からの雷放電の初観測に成功しました。
    JEM-GLIMSは,2012年7月21日 にH-IIBロケットによって種子島宇宙センターから打ち上げられ,HTV(こうのとり)3号機によって国際宇宙ステーションに輸送されました。8月9日にJEM-GLIMSは日本実験棟(きぼう)曝露部に無事設置されました。JEM-GLIMS機器の健全性と性能を確かめるため,9月下旬から11月中旬にかけて初期チェックアウト運用が行われ,その結果,JEM-GLIMSの全機器が正常であることが確かめられました。2012年11月20日には雷放電の初観測にも成功し,いよいよこれから定常運用を約2年間実施します!

    (図は,2012年11月27日午後11時51分44.408秒(日本時間)にJEM-GLIMSが観測した,マレーシア上空で発生した雷放電発光を真上からとらえたCMOSカメラ画像データです。雷放電発光は,空間的に非一様な複雑な分布をしており,約20 kmの空間的拡がりをもっていることが分かります。)


  掲載日: 2012/10/31

NHKスペシャル「宇宙の渚」番組が日本賞で最優秀賞を受賞!

  • 惑星宇宙グループが全面的に協力した,NHKスペシャル「宇宙の渚 第1集・謎の閃光スプライト」が, 教育番組およびコンテンツの国際コンクール「日本賞」の生涯教育部門で見事最優秀賞に輝きました。

    授賞式には皇太子も臨席し,諸外国の審査員からは「宇宙の渚」に対し「単なる科学番組を制作しただけ でなく,新たな科学の進歩そのものを作り出した見事な力作。」と絶賛をいただきました。

  • (詳細は,http://www.nhk.or.jp/jp-prize/index_j.html

  掲載日: 2012/10/19

【記者会見】超小型地球観測衛星「雷神2(RISING-2)」の小型副衛星採択について (理学研究院 教授 橋幸弘)

  • 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、民間企業、大学等が製作する小型副衛星に対して容易かつ迅速な打上げ・運用機会を提供すること等を目的に、平成25年度打ち上げ予定のALOS-2(陸域観測技術衛星2号)の副衛星として、4衛星の搭載を発表しました。その副衛星のひとつに、東北大学と北海道大学が開発している「雷神2(RISING-2)」が採択されました。

    (4月13日、北大東京オフィスでの記者会見で説明する橋教授)